生命保険講座とは?試験形式と難易度を解説

  • 生命保険講座の概要がわかります。
  • note「生命保険講座を最短で合格する勉強法」のアップデート記事です。
目次

1. 生命保険講座とは?

生命保険講座は、生命保険会社に総合職として入社した人を主な対象とした試験で、入社初年度から受講することが一般的となっています。

業界共通教育制度(一般課程・専門課程・応用課程・生命保険大学課程・変額保険販売資格・外貨建保険販売資格)が営業職員を対象としているのに対して、生命保険講座は幹部候補の若手が生命保険会社を運営する側として知るべき内容を習得するためのものです。大卒者を想定した試験であることや、理論中心の内容となっていることから、難しく感じる人も多い試験です。

トリビア

ちなみに、生命保険講座の歴史は古く、1906年(明治39年)に生命保険従業者のための教育機関として東京帝国大学法科大学に開設された「保険演習」がルーツ。戦後は東京大学の手を離れ、生命保険協会の生命保険講座に継承された。自学自習形式になったのは1979年(昭和54年)からで、現在の8科目構成になったのは2001年。

2. 試験日程・試験形式・受験費用

  • 2科目ずつ実施
  • CBT形式(Computer Based Testing、会場のパソコンを利用して実施する試験形式)
  • 試験時間:80分
  • 持ち込み不可
  • 受験費用:2,280円/1科目

例年、8~9月、10~11月、12~1月、2~3月にそれぞれ2科目ずつ実施されます。

受験形式は2020年よりCBT形式(Computer Based Testing、会場のパソコンを利用して実施する試験形式)となっています。試験時間は80分で、試験問題はフォームA、フォームB、フォームCの3パターンあり、いずれか一つランダムに出題されます。

また本人確認書類以外のすべての持ち物が持ち込み不可。持ち物は受験前に会場に設置されているロッカーに収納することになります。

受験費用(受験手数料+テキスト代)は1科目あたり2,280円となっています。必ず一発合格して、時間と費用を無駄にしないようにしたいところです。

CBT形式の注意点

机上にはノートボード(ホワイトボードみたいなもの)とペンがセットされており、ノートボードは試験中のメモ用紙として利用できます。受験前に下記のリンク「CBTによる受験の仕方」を確認しておきましょう。
生命保険協会 業界共通試験|CBTによる受験の仕方www20.prometric-jp.com

CBT形式で、最も勝手が異なるのが電卓です。電卓はPC上に表示される電卓ソフトを使用することになります。自分が使っている電卓とは使い勝手が異なるので、注意が必要です。特に「生命保険計理」では、電卓必須の計算問題が多く出題されます。リンク先で電卓ソフトとその機能も押さえておきましょう。

3. 試験科目と難易度

試験の難易度としては、出題問題にひねりはなく、取り立てて難しい部類ではありません。テキストの内容を知っているか知らないかを問う問題がほとんどです。ただし、一般課程~生命保険大学と比べると内容が専門的で難易度は格段に上がるので注意が必要です。

合格率から科目別の難易度を見ていきましょう。「生命保険講座」の試験科目は全8科目ありますが、科目ごとにテキストのボリュームに差があり、難易度もばらつきがあります。特に「生命保険計理」と「生命保険会計」は合格率が低くなっています。

受験月科目名合格率
8~  9月生命保険総論83%
生命保険計理73%
10~11月危険選択91%
約款と法律83%
12~  1月生命保険会計69%
生命保険商品と営業90%
2~  3月生命保険と税法80%
資産の運用79%
※合格率は2008~2017年の平均値。「生命保険協会110年小史」より生保講座ノートの会が作成。

難易度順(≒合格率順)に並べてみました。「生命保険計理」は計算問題が多数含まれ、苦戦する受験者が多い印象です。「生命保険会計」も簿記の前提知識がない人にとってはしんどい内容でしょう。ほとんどの受験者は同時に2科目受験することになるので、メリハリをつけて十分対策をすることをおすすめします。

難易度順

①生命保険会計(69%)>②生命保険計理(73%)>③資産の運用(79%)>>④生命保険と税法(80%)>⑤約款と法律(83%)>⑥生命保険総論(83%)>>⑦生命保険商品と営業(90%)>⑧危険選択(91%)

4. 合格点と優秀賞

  • 合格点:60点もしくは70点(所属の生命保険会社による)
  • 優秀賞:全8科目の合計点が720点以上(平均90点以上)

合格点は60点もしくは70点となっており、生命保険会社ごとに決められています。1科目ごとに合格が判定される科目合格制で、公式には4年以内に全科目に合格すれば「修了」となりますが、総合職では一発合格が当然とされています。ちなみに無事「修了」すると、生命保険協会から「修了証」が授与されます。

「優秀賞」は、全8科目の合計点が720点以上(平均90点以上)が条件です。正確には、「2年以内に8科目をそれぞれ初回受講で全科目合格し、かつ合格点が720点以上の場合」となります。2年かけて1科目ずつ受験し、平均90点以上を獲得しても「優秀賞」となりますが、あまり評価されないでしょう。

5. 資格の価値は?

生命保険講座の価値としては、生命保険会社を運営する側として知るべき内容を体系的に学べることに尽きるでしょう。保険を営業する側の目線の資格や消費者目線の書籍はたくさんありますが、保険という仕組みを運営する側(=保険会社側)の目線で理論や運営を勉強できるレアな機会でもあります。

もっと直接的な効力としては、優秀賞獲得が人事評価的にはプラスとされています。入社初年度の慣れない環境で、働きながら勉強することはなかなか難しいからです。勉強の出来不出来を測るというよりは、努力度合いを見ているという感じでしょうか。同期入社者のなかでもぽろぽろと不合格者が出る一方で、目標とする部署がある人は真剣に取り組んでいたという印象があります。

ちなみに、残念ながら生命保険講座の知名度は業界外ではないに等しいので、転職時のアピール材料にはならないでしょう(無いよりはいいかもしれませんが)。また、他の生命保険会社に転職した場合、引き継がれない資格になります(専門・応用・大学は引き継ぎ可能)。

出典
・「生命保険協会 業界共通教育制度ってなに?」
https://www.seiho.or.jp/exam/education/
・「生命保険協会百年史」
https://www.seiho.or.jp/data/publication/history/onehundred/pdf/all.pdf
・「生命保険協会110年小史」
https://www.seiho.or.jp/data/publication/history/pdf/all.pdf
・「生命保険協会 合格情報照会制度」
https://www.seiho.or.jp/personal/acceptance/

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