- 生命保険面接士試験の概要がわかります。
1. 生命保険面接士試験とは?
生命保険面接士試験は、生命保険協会が実施する業界共通試験の一つで、新しく生命保険面接士になる人が面接士として必要な知識および技能を修得しているかを選別するための試験です。
業界の中でもマイナーな試験ですが、生命保険面接士になる人に加えて生命保険会社の専門部署の人が受験するほか、生命保険営業でも役に立つ知識を習得できる資格として、自己研鑽で活用されることもあります。
ひとことで言えば、生命保険面接士の仕事は危険選択情報を収集する(≒告知の確認をする)仕事である。具体的には、被保険者と面接して①告知書記載事項の確認(告知を面接士の面前で記載してもらう)、②外観の観察を行う。
1971年に創設された制度で、診査医による有診査保険と無診査保険との間の危険選択方法として創設された。当初の面接士の導入の目的は、保険診査医の不足、地方の農漁村における保険診査体制の補充、診査コストの低減であった。
2. 試験日程・試験形式・試験科目・受験費用
- 試験日程:毎年9月(年1回開催)
- 試験形式:紙試験(マークシート方式)
- 試験時間:120分
- 試験科目:4科目:「生命保険の基礎知識」「危険選択」「医学知識」「生命保険面接士の実務」
- 受験費用:2,000円/1回
令和元年(2019年)以降、試験は年1回開催で9月に実施されており、初回であれば必ず一度に4科目を受験することになります。
受験形式は、紙試験(マークシート方式)で、受験時間は120分。国内4都市(東京、大阪、福岡、札幌)で実施されます。生命保険協会が主催する業界共通試験は2020年度よりCBT化が実施されましたが、生命保険面接士試験は現状紙試験のままです。
「生命保険面接士試験」の試験科目は「生命保険の基礎知識」「危険選択」「医学知識」「生命保険面接士の実務」の4科目です。科目合格制で、合格しなかった科目は翌年再受験が可能です。
受験費用は1回あたり2,000円(受験科目数に関わらず一律)となっています。一発合格して、時間と費用を無駄にしないようにしたいところです。
3. 合格点と難易度
- 合格点:各科目70点
- 難易度:4科目のうち「医学知識」が難しい
合格点は70点となっています。1科目ごとに合格が判定される科目合格制で、公式には1回目受験から2年以内に4科目に合格しなければならないとしています。2年以内に受からなかった場合ははじめからやり直しとなります。
試験の難易度としては、出題問題自体は難しいものではなく、テキストの内容を知っているか知らないかを問う問題がほとんどです。「生命保険の基礎知識」「危険選択」「生命保険面接士の実務」は標準的な難易度ですが、「医学知識」は出題範囲が広く、内容も専門性が高いため、難易度が高くなっています。
また、合格率が最低4割台~最高9割台と年によって大きく異なるのも特徴的です。受験者数の少なさを差し引いても、合格率のばらつきが大きさから、受験年によって難易度が大きく変化すると言えそうです。
年月 | 合格率 |
---|---|
2008年9月 | 77.3% |
2009年2月 | 79.6% |
2009年9月 | 52.0% |
2010年2月 | 87.0% |
2010年9月 | 64.3% |
2011年2月 | 60.4% |
2011年9月 | 71.1% |
2012年2月 | 45.0% |
2012年9月 | 53.9% |
2013年2月 | 77.2% |
2013年9月 | 61.2% |
2014年2月 | 72.5% |
2014年9月 | 56.1% |
2015年2月 | 58.4% |
2015年9月 | 74.9% |
2016年2月 | 61.2% |
2016年9月 | 83.2% |
2017年2月 | 70.2% |
2017年9月 | 92.2% |
2018年2月 | 40.7% |
最高 | 92.2% |
最低 | 40.7% |
平均 | 66.9% |
4. 資格の価値は?
この資格の価値は、①業界資格ながら実質的な独占資格業務である「生命保険面接士」として活動できること、②生命保険の募集を行う上で必要な医学知識がまとめて身につくことでしょう。
ただし①については、告知書扱の拡大により業務そのものが縮小傾向にありますし、資格職としてのリターンも大して見込めません。残念ながら転職時のアピール材料にもならないと思われます。
実際の活用方法としては②の通り、学んだ知識を保険募集に役立てるという側面で価値を発揮することが多いと思われます。資格そのものに価値があるというよりも、資格取得を通して学んだ医学知識に価値があると言えるのかもしれません。
また、他の生命保険会社に転職した場合、一定の条件のもと引き継がれる資格であることもメリットと言えるでしょう。
出典
・「生命保険協会 生命保険面接士試験制度」https://www.seiho.or.jp/personal/interviewer/
・「生命保険協会百年史」
https://www.seiho.or.jp/data/publication/history/onehundred/pdf/all.pdf
・「生命保険協会110年小史」
https://www.seiho.or.jp/data/publication/history/pdf/all.pdf
・「生命保険協会 合格情報照会制度」
https://www.seiho.or.jp/personal/acceptance/・「保険事例研究会レポート第238号」
https://www.jili.or.jp/files/workshop/search/E_238_1.pdf
・「生命保険協会SR報告書」
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