1. 科目の特徴
「生命保険会計」は、生命保険会社特有の会計制度に焦点を当てた内容です。業界共通教育制度の中ではあまり登場しない内容のため、多くの受験者は馴染みがなく、試験の設問の内容が専門的なこともあり、難しい印象です。
前提知識としては、日商簿記検定3級程度の知識があれば取っつきやすいでしょう。裏を返せば、会計の基礎的な知識を持っていないと厳しい内容であることも確かです。
2. 試験の難易度
平均合格率68.9%(8科目中8番目)と最も合格率が低く、生保講座のなかでは難易度の高い科目と言えます。合格率の推移をみても60%以下となる年度がある等、苦戦する受験者が多いことが見て取れます。会計の基礎的な知識を持っていない人は、入念な準備をしておくことをおすすめします。
年度 | 合格率 |
---|---|
2008 | 65.2% |
2009 | 70.6% |
2010 | 81.8% |
2011 | 78.5% |
2012 | 57.1% |
2013 | 67.4% |
2014 | 68.8% |
2015 | 74.2% |
2016 | 68.8% |
2017 | 56.4% |
最高 | 81.8% |
最低 | 56.4% |
平均 | 68.9% |
3. どんな内容なの?
テキストは7章構成で分量も標準的です。特徴的なのは、テキストの分量の約半分が4章・5章に割かれている点です。各章の概要は下記の通りです。
1章 会計の意義と役割
会計にはどのような意義があるか、また企業会計は、どのような役割を担っているかを理解する。さらに、財務会計と管理会計の役割についても理解する。
2章 簿記の基本原理と基礎
簿記の基本は、企業の経済活動のうち会計上の取引を「取引の8要素」にしたがって「仕訳」することにあるので、正しく「仕訳」をできるようにする。
3章 企業会計制度と会計諸則
企業会計の代表的会計根拠である「企業会計原則」について理解する。また、今日の代表的会計規範である「会社法」、「金融商品取引法」、「法人税法」について、その内容および「企業会計原則」との関係について理解する。
4章 生命保険会計の特徴
生命保険会社の会計処理および決算処理の特徴を理解する。
5章 生命保険会計における勘定体系
生命保険会社の勘定科目体系を理解する。また、その処理内容について、会計諸則や法人税法の規定の適用、関係省令等の規定及び経理処理要領の内容、相互会社と株式会社における処理方法の相違点等について理解する。
6章 生命保険会計の現状と課題
事業費管理利源分析、費差損益管理についてその内容を把握し、各社の経営課題として強く認識されている「費差益の拡大」と「費差効率の向上」について理解する。また、経営内容・経理内容等の「ディスクローズ」が、拡大・充実される方向にあるので、一般企業の動向も踏まえ、生命保険会社の現在の取り組み状況と今後の課題について理解する。さらに、保険業法により区分経理が必要とされているので、その仕組みや内容を理解する。
7章 監査および検査
監査の必要性および生命保険会社における監査制度について理解する。さらに金融検査税務調査の内容について理解する。
※出典:生命保険協会「生命保険講座 生命保険会計」より各章のポイントを抜粋
4. 頻出単元
下記リンク先のnoteでは、「生命保険会計」の過去10年分(2013-2022年度)16回の過去問を独自に分析し、頻出単元を割り出しました。独自に算出したカバー率をもとに、メリハリをつけてテキストを進めれば、効率的に学習を進めることができます。適宜ご活用いただければ幸いです。
その他参考
試験まで時間がない方は、テキストより先に過去問から取り掛かることをおすすめします。併せて過去問解説もご活用ください。過去問解説はこちら↓
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