1. 科目の特徴
「生命保険と税・相続」では、生命保険に関連する税制(所得税・相続税・贈与税・法人税)について学びます。
業界共通教育制度で既習の内容も含まれますが、テキストの分量が多く専門性も上がるため、苦戦する人も多いようです。
2. 試験の難易度
平均合格率77.4%(6科目中6番目)と、生保講座のなかでは最も難しい科目です。カリキュラム改定後の初年度であった2011年は合格率が6割を下回るなど難易度の高さが見て取れます。2016-17年は70%台と易化傾向にありますが、他の科目と比較し難しいことに変わりはありません。
年度 | 合格率 |
---|---|
2011 | 56.7% |
2012 | 60.3% |
2013 | 67.8% |
2014 | 63.8% |
2015 | 61.3% |
2016 | 75.0% |
2017 | 77.9% |
最高 | 77.9% |
最低 | 56.7% |
平均 | 66.1% |
3. どんな内容なの?
テキストは7章構成でテキストの分量は6科目中最も多くなっています。1・2章が所得税に関する内容(約3割)、3・4・5章が相続税に関する内容(約4割)、6・7章が法人税に関する内容(約3割)となっています。各章の概要は下記の通りです。
第1章 所得税等
1.各種所得の計算から納付税額の算出まで、計算の全体の流れがどのようになっているかを理解する。
2.所得税では、所得の発生態様により所得を10種類に分類していることを理解する。
3.所得控除は、「総所得金額(総合課税される所得金額の合計額)」から差し引かれるもので、5種類あることを理解する。
4.税額計算の順序について理解する。
5.税額控除の内容と計算方法を理解する。
6.源泉徴収制度の仕組みとその対象となる所得を理解する。
7.確定申告を要する場合と還付を受けるための確定申告があることを理解する。
8.青色申告制度における記帳義務と、所得計算上および納税手続き上の特典を理解する。
第2章 所得税の実務に係る知識
1.申告納税(確定申告等)にあたって、手続き上の留意事項を理解する。
2.各所得控除のうち特にかかわりの深いものの内容詳細を確認すると同時に、「生命保険料控除」の実務について理解する。
3.各種控除等の考え方や適用効果を事例とともに理解する。
4.実生活の中で、特に中高年者や扶養家族、夫婦にとって重要な所得税の実務に関する知識を身につける。
第3章 相続税
1.相続は、死亡(認定死亡や失踪宣告等を含む)によって開始し、相続の開始があると被相続人の財産に属した権利・義務の一切が相続人に受け継がれ、相続税が課税されることを理解する。
2.相続人は、被相続人の配偶者および血族関係者が一定の順位でなることを理解する。
3.遺贈とは、遺言によって財産的利益を与えることを理解する。
4.遺留分とは、相続人である配偶者・子・直系尊属が相続することができるよう定められた最小限度の相続財産の割合であるということを理解する。
5.相続・遺贈などによって財産を取得した場合には、原則としてすべての財産が課税財産となることを理解する。
6.みなし相続財産には、どのようなものがあるかを理解する。
7.非課税財産には、どのようなものがあるかを理解する。
8.相続税の総額の計算手順を理解する。
9.各人の納付すべき相続税額の計算手順を理解する。
第4章 贈与税
1.贈与税は、贈与によって取得した財産に課税される税金であることを理解する。
2.贈与税が課税される財産には、本来の贈与により取得した財産と、贈与により取得したものとみなされる財産があることを理解する。
3.相続税と同様に、贈与税についても非課税財産として贈与税が課税されないものがあることを理解する。
4.贈与税額の計算ができるようにする。
5.贈与税の税率の累進度は相続税のそれと比して格段に高いことを理解する。
6.贈与税は所得税と同じく暦年の1年を計算期間とし、申告書提出期限および納付期限は翌年の2月1日から3月15日であることを確認する。
7.相続時精算課税制度の内容および暦年課税との違いを理解する。
第5章 生命保険税務と相続対策
1.生命保険契約の契約形態による課税関係の違いを理解する。
2.保険金・給付金に対する課税について理解する。
3.代表的な商品に関する課税関係の特徴について確認する。
4.契約内容の変更等の保全手続きで発生する課税関係を理解する。
5.相続対策には「3つの対策」があることを理解する。
6.個人における具体的な相続対策の内容について確認する。
7.生命保険を活用した相続対策の考え方を理解し、その留意点を確認する。
第6章 法人税等
1.法人税の考え方と法人税の種類について理解する。
2.会社利益と所得金額の調整について理解する。
3.法人税額の計算方法を理解する。
4.益金・損金になるものの種類とその内容について理解する。
5.同族会社の意味と法人税法上の特別規定について理解する。
6.法人税の申告と納税方法について理解する。
第7章 法人向け生命保険契約の税務
1.法人向け保険商品の課税関係を理解する。
2.法人向け保険商品の約款上の手続きに関する経理(帳簿)処理を理解する。
3.福利厚生プランの取扱いに関する課税関係を理解する。
※出典:生命保険協会「生命保険大学課程テキスト 生命保険と税・相続」より各章の学習のねらいを抜粋
その他参考
試験まで時間がない方は、テキストより先に過去問から取り掛かることをおすすめします。併せて過去問解説もご活用ください。過去問解説はこちら↓
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